Nuclear Test Moratorium Threatened by North Korean Impunity - JAPANESE

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北朝鮮の黙認で脅かされる核実験モラトリアム

【国連IPS=タリフ・ディーン】

国連は今年も「核実験に反対する国際デー(8月29日。ただし国連では9月5日に記念セミナーや展示が行われる)」を迎えるが、多くの反核活動家の心に消えてなくならない疑問は、核実験モラトリアムが尊重され続けるのか、それとも、ときにそれが破られつつも黙認されるのか、ということだ。

「核戦争防止国際医師会議」(IPPNW)のプログラム・ディレクターであるジョン・ロレツ氏は、1990年代以来、モラトリアムは核兵器保有国のほとんどによって尊重されてきた、とIPSの取材に対して語った。

1998年に核実験を行ったインドとパキスタンはその例外であるが、両国はその後実験を行っておらず、あとは北朝鮮が2006年以来3度にわたって非常に小規模な実験を行ったぐらいである。

北朝鮮が今年2月に3度目の核実験を行った際、15か国から成る国連安全保障理事会は、実験は過去の安保理決議に対する「重大な違反」であり、北朝鮮は「国際の平和と安全に対する明白な脅威」であると断じた。

3回目の実験に続いて安保理が3本目の決議を採択した際、北朝鮮が「さらなる」核実験を行えば「重大な行動」を採るとの決意を明らかにした。

「核実験に反対する国際デー」は、核兵器に関する関心、とりわけ「私たちの健康と生存に核兵器が突きつける継続的な脅威と、世界から核兵器を廃絶すべきという要請」に対する関心を喚起する重要な方法であるとロレツ氏は言う。

またロレツ氏は、新たに対立が激化している米ロ間の関係が(核廃絶に向けた動きに)マイナスの影響を及ぼすかという問いに対して、「それはたしかに問題ですが、恐らく一時的な関係悪化と思われる事態が原因で、どちらかの国が核実験の再開にまで踏み切ると疑う理由は全くありません。」と語った。

「しかし、米ロ両国は自国の核戦力の近代化を進めてきており、現在の対立構造が続けば、この動きを一層促進させるべきとの政治的圧力が双方の国内で強まる可能性はあります。」とロレツ氏は指摘した。

現在、世界には5つの公式核兵器国がある。すなわち、国連安保理の5つの常任理事国(P5)でもある米国、英国、ロシア、フランス、中国である。これに加えて、インド、パキスタン、イスラエルの3つの非公式核兵器国がある。

しかし北朝鮮については(作戦配備できる軍事的に使用可能な核兵器を製造したかどうかは不明なため:SIPRI)核兵器保有国とみなすかどうかについては、未だに決定がなされていない。

「世界の生存のための医師の会」(PGS)のデール・デューアー元代表は、IPSの取材に対して、「北朝鮮が1年前に地下核実験を行ったものの、世界は大気圏と地下における核実験の禁止に概ね成功してきました。」と語った。

「一方米国は、自己継続的な核連鎖反応を起こすことのない『臨界前核実験』計画を開始しています。核兵器の重要要素であるプルトニウムの挙動をこれらの実験によって確認することができるのです。」とデューアー氏は語った。

臨界前実験と実験施設維持のコストは膨大なものである。米エネルギー省(DOE)によると、1回の臨界前核実験で2000万ドル、実験の準備のために1億ドル以上かかるという。

デューアー氏は、「『世界の生存のための医師の会』はこれらの膨大なコストを、保健や教育、社会サービスから奪われたもの、つまり納税者のお金を軍事のために、とりわけこの場合は、理論上のSF的な将来使用のために振り向けられたものとみています。」と語った。

「これらの実験を通じて延命が図られている核爆弾が実際に使用されれば、数十万人の、おそらくは数百万人の命と健康が影響を受けることになります。そうした兵器の実験は言うに及ばず、保有し続けることすら正当化できないのです。」とデューアー氏は断言した。

メルボルン大学ノッサルグローバル保健研究所のティルマン・A・ラフ准教授は、「1945年以来、核兵器開発のために推定2061回の核爆発実験が8~9か国によって行われ、世界の生存と健康に対する最も差し迫った脅威となってきました。」と語った。

またラフ准教授は、「核爆発実験自体も、環境や人間に相当大きな被害を与え続けてきました。」と指摘したうえで、「あらゆる人間と生物が、歯と骨にストロンチウム90、細胞内にセシウム137、その他炭素14やプルトニウム239などの世界中に拡散している放射性物質を体内に取り込んでいます。」と語った。ラフ氏は、核廃絶国際キャンペーン(ICAN)の共同代表で同オーストラリア運営員会の議長でもある。

またラフ氏は、「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)の調査によると、核実験による放射性物質の降下によって2000年までに43万人がガンで亡くなり、長期的には、核爆発実験が原因によるガンで240万人以上の死亡が見込まれています。」また、「ほとんどの場合、核実験場は、先住民族や少数民族、(海外領土における)植民地化された人々の犠牲の下に作られ、実験場の労働者や実験場の風下に位置するコミュニティーが最もひどい被害を受けてきました。」と指摘した。

それにもかかわらず、あらゆる核実験場において、放射能と毒物の長期的悪影響が残り、除染や原状復帰、長期的な環境モニタリング、被害者へのケアと賠償がなされていないという。

これらの責任は、核実験を行った政府にある。

さらにラフ氏は、「(現時点では禁止対象にされていない)地下核実験は、大気圏実験よりも大気中にまき散らす放射性降下物の量は少ないが、周辺の地層は破壊され、環境中や地下水への放射性物質漏れという長期的な危険が将来世代に対してもたらされることになります。」と断言した。

ロレツ氏は、(地下核実験も禁止対象とする)包括的核実験禁止条約(CTBT)は1996年に採択されたが、未だに十分な国が批准していないため、発効に至っていない、と語った。

ロレツ氏は、「米国は(CTBTに)署名だけして批准していないが、発効要件とされている米国の批准が成立すればバランスが変わり、発効を要する残り7か国(中国、韓国、エジプト、インド、イラン、イスラエル、パキスタン)の批准につながる。」と指摘したうえで、「それ(=米国の批准)は未だ実現していない非常に重要なポイントだ」と語った。

「私たちの多くは、CTBTの批准は重要で有益なことではあるが、ICANが主張している包括的な条約(=核兵器禁止条約)に比べれば、二次的な問題だと考えるようになってきています。」

「実際の核兵器廃絶に向けた最初の行動となる世界的な禁止には、核実験の禁止も含まれることになります。」とロレツ氏は付け加えた。(08.27.2013) IPS Japan

 

 

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