'Don't Take Arabs' NPT Membership for Granted' - JAPANESE

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「アラブのNPT残留を当然だと思うな」

【カイロIDN=バヘール・カーマル】

エジプト国民が核問題に現実の懸念を抱いているというわけではない。宗教間暴力が激しさを増し、ムハンマド・モルシ政権に対する民衆の不満が高まる中、危険な不安状況が続いている。こうしたなかでエジプト国民は、彼らの現在と直近の将来について深く憂慮している。簡単に言えば、あまりに多くの不満とごまかしがあり、核のことなどは考えられないというのが現状である。

にもかかわらず、一般的にはアラブ諸国政府、とりわけ湾岸地域の諸政府が米国からの政治的圧力を受けてのものだと言われているがイランの核計画に対する恐怖感を表明するようになり、近年再び核問題に焦点を当てるようになってきている。

実際、バーレーンのガニム・ビンファドル・アル・ブアイネン外務担当国務大臣(副外務大臣)とハーリド・ビン・アハマド・ビン・ムハンマド・アル・ハリーファ外相はこの3月、「バーレーン政府およびその他の湾岸諸国としては、たとえ平和目的であったとしても、核活動に関する話は聞きたくない」と、マナマで筆者に語った。

彼らの主張は、いかなる性格の民生核活動であったとしても、水汚染や(歴史的に主要な生活資源である)魚類への影響から、原発事故のリスクに至るまで、湾岸諸国の民衆の生命と生活に対する強力なマイナスの影響があるというものだ。

中東の非核兵器地帯化を宣言することをめざす取り組みにおいて重要な役割を常に担ってきたエジプトも、同じような不安を抱えている。実際、エジプト外交は、国内状況にもかかわらず、アラブ諸国の支援を得ながら、この方向での取り組みを続けてきたのである。

この分野でエジプトのトップを走る専門家の一人であるムハンマド・カドリ・サイード元少将が、筆者に対してエジプトの観点について解説してくれた。元少将は、アル・アーラム政治・戦略研究センター(カイロ)の軍事・技術アドバイザーで、軍事研究班の班長も務めている。

イランの核計画が西側諸国の注目を集め(制裁に発展する)一方で、イスラエルが中東唯一の核保有国として存在している。中東の核をめぐるこうした現在の行き詰まりを終わらせる大きな突破口が、あらゆる障害の存在にもかかわらず求められている、とカドリ氏は考えている。

エジプトとアラブ諸国は、イスラエルの核も含めて中東を非核兵器地帯化するという米国の約束との交換条件で、1995年に核不拡散条約(NPT)への加盟を催促された。従って、突破口となるこの約束が実現しないということになれば、NPTから脱退することもありうる。

カドリ氏は、「現在、アラブ諸国の中で核計画を『宣言』している国はありません。」と強調したうえで、「中東における唯一の例外がイスラエルです。私は、アラブ諸国の話をしているのであり、イランやパキスタンのことではありません。」と語った。

イスラエルが推定約230発の核爆弾を保有している(これはインド・パキスタンの保有数の合計を超える)ことに関する見解を求められたカドリ氏は、「イスラエルの核弾頭の数についてはさまざまな推定が出されているが、150発というのがよく言及される数字です。」と語った。

100~200発の間だという推定もある。カドリ氏は、「いずれにせよ、100発だろうが200発だろうがあまり変わりません。本当に重要なことは、核の保有そのものが恐ろしい、ということです。」と語った。

以下が、インタビューの抜粋である。

Q:ニューヨークで2010年5月に開かれた、5年毎のNPT運用検討会議において、中東非核兵器地帯化の方法について議論する国際会議の開催に参加国は合意しました。集中的な交渉の後、フィンランド政府が、ヘルシンキで同会議を主催すると昨年発表しました。しかし、会議の開催は、延期されています

カドリ:少し背景を説明しましょう。新しい核兵器国が登場することによる恐ろしい帰結と脅威のために、国際社会は、NPT(核不拡散条約)を締結することにしたのです。

当初の考えは、条約にはすべての国家による参加を可能にし、10年ごとに条約再検討あるいは更新の議論プロセスを行い、その後はいかなる国であっても、条約加盟を更新するか脱退するかを決めることができる、というものでした。エジプトとアラブ諸国は、当初は条約に加わらないことにしたのです。

Q:なぜですか?

カドリ:おそらく、どの国でも脱退できるような条約は「無意味」だと考えたのでしょう。この段階で、米国が登場して、エジプトやアラブ諸国、イランに対してNPT加盟への圧力をかけたのです。これらの国々は、2つの約束と引き換えに条約加盟を決めました。ひとつは、条約が10年ごとに更新されるのではなく無期限に延長されること、もうひとつは、中東の非核化に向けた取り組みがなされるということです。もちろん、イスラエルも対象に含まれます。このプロセスは1995年に頂点を迎えることになりました(条約は1968年に署名開放され、1970年に発効。1995年5月11日に無期限延長された。)

Q:まさにその年に、国連安保理が中東を非核兵器地帯化する必要性を謳った決議を採択したのでしたね。その後の大きな進展はありますか?

カドリ:その安保理決議が1995年に採択されたということは、問題のすべてがその年に解決されるだろうということを意味したのでした。それは出発点となるはずでした。

Q:しかし、中東から核兵器を廃絶する方法を探る国際会議(=フィンランド会議)を開催するとの決定が2010年NPT運用検討会議でなされたことを例外とすれば、この18年間、何も起こりませんでした。ならば、なぜアラブ諸国はNPTの枠内にとどまり続けているのですか?

カドリ:実は、アラブ諸国の研究所が、まさにこの点について討議するためにこの数か月間何度も会議を開いてきたのです。これまで、予定されたヘルシンキ会議が今年(2013年)中に開催されないならば、アラブ諸国に対してNPTからの脱退を勧告しようという大まかな合意ができています。

Q:イランが核計画を始動させたのは、現職のマフムード・アフマディネジャド大統領が選出される以前の2003年でした。イラン政府は、20%までのウラン濃縮なら可能だと主張しています。しかし、科学者らによれば、核爆弾製造には95%の濃縮ウランが必要です。イランには核兵器を製造する能力があるとお考えでしょうか?

カドリ:はい。十分あると思います。

Q:イランはすでに核兵器を保有しているということですか?

カドリ:イランには製造の「能力」があると申し上げたはずです……これは非常に複雑なプロセスですから。

Q:中東非核兵器地帯化と延期されたヘルシンキ会議の問題に戻ります。この会議は開催されることになるでしょうか。

カドリ:はい、開催されると思います。

Q:特定の、法的拘束力のある、実行可能な成果が生まれるでしょうか?

カドリ:何らかの成果はあると思います……つまり、第二次世界大戦後に起こったような大きな変化という意味です。

Q:そうした大きな変化とは、イスラエルの核も含めて、中東からすべての核兵器が廃絶されることになるでしょうか? それはどの程度現実的だと思いますか?

カドリ:そう思います。「現実的か」とのお尋ねですが、 それではいったい誰が、第二次世界大戦後に欧州で起きたような大きな変化を予想したでしょうか?(05.03.2013) IPS Japan/IDN-InDepthNews

バヘール・カーマルは、エジプト生まれのスペイン国籍。ジャーナリストとして約40年の経験を持つ。スペインでHuman Wrongs Watchの編集・出版を行う。

 

 

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