Pressure Mounts on Nuclear States to Ratify Test Ban - JAPANESE

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包括的核実験禁止条約批准へ核兵器国への圧力高まる

【国連IPS=ハイダー・リツヴィ】

米国とその他少数の核兵器国が、核実験を法的に禁止する国際社会の決意をすみやかに受け入れるよう、強い圧力を受けている。

スウェーデンのカール・ビルト外相は、包括的核実験禁止条約(CTBT)促進のために国連で開かれている高級閣僚会議において9月27日、「核兵器の廃絶は、核兵器を使用させないための究極の保証であり、最善の核不拡散メカニズムである」と演説した。

また、「核実験を終わらせることは、核軍縮に向けた重要なステップである」とも外相は述べ、これに、オーストラリア、オランダ、インドネシア、日本、フィンランド、カナダなども同調した。

CTBTは、「いかなる核兵器実験爆発、あるいはその他のいかなる核爆発」を世界のいかなる場所においても禁じている。1996年9月に署名開放されたCTBTは、これまで183か国が署名、157か国が批准している。しかし、CTBTが協議されていた時点で原子力を保有するか研究炉を持つ44か国の批准が発効に必要とされている。

これらの国のほとんどがすでに批准しているが、米国、中国、インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエル、イラン、エジプトが依然として批准していない。2009年、米国のバラク・オバマ大統領が上院で条約批准を目指す意向を明らかにした。しかし、明確な時限を示したわけではない。

条項の遵守を検証するために、条約では監視施設の世界的ネットワークを確立し、疑わしい行為に関しては現地査察を許容している。合意の全体は、前文、17か条からなる本文、2つの附属書、検証手続きに関する1つの議定書から成っている。

外相らは今回、共同声明において、依然として署名あるいは批准を済ませていない国に対して、これ以上履行プロセスを遅らせるべきでないないと呼びかけた。包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)準備委員会のティボール・トート事務局長は、今年がキューバミサイル危機50周年にあたる背景を踏まえて、歴史的経緯について語った。

「50年前、ソ連と米国は世界を絶望の淵に陥れました。しかし、ワシントンやモスクワ、その他数えきれない世界の首都において緊張が沸点に達した時、そうした脅威が起こるのを防ぐ必要が認識され、明徴の時が訪れたのです。」とトート事務局長は語った。

危機のさなか、ソ連のニキータ・フルシチョフ首相は、米国のジョン・F・ケネディ大統領に対して、核実験の禁止を「同時並行的に」行うことでキューバミサイル危機を収めることを提案したのだった。トート事務局長は、「この(提案は)、人類にとっての大変な授け物であった」としたうえで、「(この出来事は)今日と同じように、当時にあっても、核実験によって自然環境及び政治的環境が毒されることを明白に示すものです。」と語った。

他方、国連の潘基文事務総長は、CTBT未加盟の国々に対して、「(あなたがたの国は)国際社会の一員としての責任を果たしていない。」と批判した。

演劇「レイキャビク」の作者でピューリッツァー賞の受賞者リチャード・ローズ氏は、核絶滅の危機は人為的なものであり、1986年のレイキャビク・サミットの先例が示すように、人為的な解決策を見つけることができる、と語った。

レイキャビクにおいて、ロナルド・レーガン米大統領とミハイル・ゴルバチョフソ連共産党書記長が核兵器廃絶に近づく合意を行ったことに言及して、ローズ氏は「核兵器なき世界の実現は、決してユートピア的な夢ではないのです。」と語った。

日本の玄葉光一郎外務大臣は、国連総会に合わせて行われた日本のメディアとの会合で、監視システムを強化する必要について強調した。日本は、1945年の米国による核攻撃の結果、生命の大量破壊を実際に経験した唯一の国である。

今回の会合では、イランと北朝鮮が核関連活動に関して痛烈な批判にさらされたが、数百発の核兵器を保有しながらCTBTに加入する意志を示していないイスラエル、インド、パキスタンについてはまったく言及されなかった。

また、米国が核兵器の近代化を行っているという報告についての討論もまったく行われなかった。

CTBT以前の50年間で2000回以上の核実験が地球を揺るがし汚染したとされているが、CTBT後の世界では数えるほどしか行われていない。それらはすなわち、1998年のインドとパキスタンによるものと、2006年と2009年の北朝鮮による核実験である。

CTBTは、大気圏、宇宙空間、水中、地中と地球のあらゆる場所で誰が核実験を行うことも禁じている。とくに、核兵器廃絶という究極的目標をもって、核兵器を世界的に削減していく必要をCTBTは強調している。

条約の前文は、「核兵器の開発及び質的な改善を抑制し、並びに高度な新型の核兵器の開発を終了させること」によって、CTBTを核軍縮と核不拡散の効果的措置たらしめることを謳っている。

条約第7条では、条約発効後に加盟国が条約の改正を提起する権利を定めている。改正が提起された場合は、採択されるには、いかなる締約国も反対票を投ずることなく、締約国の過半数の賛成票が必要になる。

オーストラリア、日本、インドネシアの外相がいわゆる「平和的核爆発」に関連する修正プロセスについて見解を問われたが、答えを持ち合わせていないようであった。外相らは顔を見合わせて、沈黙を保った。

しかし、豪州のボブ・カー外相は、のちにIPSの取材に対して、「確認してみる」と答えた。

CTBTO準備委員会によると、条約第8条において、条約発効から10年後に、前文も含め、条項の履行状況を確認するための会議を開くものとされている。この再検討会議では、いわゆる「平和的核爆発」(PNEs)の問題を議題に乗せることを提起する加盟国が現れるかもしれない。

しかしCTBTO準備委員会は、「ある実質的に乗り越えがたい障害を越えない限り」、平和的核爆発は禁止され続けるであろうとみている。その根拠はすなわち、「(第7条の規定に従って)再検討会議において、平和的核爆発が認められると異論なく決定し、次に、条約の改正が承認されなくてはならない」からである。

またCTBTO準備委員会は、そうした改正は「そうした爆発から軍事的利益が生まれないことを証明しなくてはならない。この二重のハードルによって、平和的核爆発が条約の下で容認される可能性は限りなくゼロに近いと言えるだろう。」としている。

CTBTO準備委員会によると、1960年代から80年代末にかけて、とくにソ連と米国が経済的理由から「平和的核爆発」の理念を追求したが、「結果はさまざまであった」という。

1945年から1996年にかけての2050回超(その内大気圏内は502回)の核爆発のうち、150回超(全体の約7%)が平和目的であったとされる。

専門家らは、平和的核爆発は人体や環境へのマイナスの影響の点で核兵器の実験と質的に何ら変わるところはないとしている。もちろん、爆発装置自体も、同じ技術的特徴を有しているのである。(09.27.2012) IPS Japan

 

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