毒物の脅威に立ち向かう新しいイニシアチブ開始

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【国連IPS=イザベル・デグラーベ】

化学、生物、放射性物質、核(CBRN)の脅威に関連したリスクを低減することが、センター・オブ・エクセレンス(CoE)として知られる新しい多国間イニシアチブの目標である。

国連地域犯罪司法研究所(UNICRI)、欧州連合の代表、CBRN問題の専門家らが共同のCoEを立ち上げ、CBRNのリスクに対処する政策を作り世界をまとめることを目指している。

CBRN物質が犯罪目的で乱用され、とりわけ産業への深刻なダメージがもたらされる懸念が高まっていることを受け、ケニア、アルジェリア、モロッコ、ヨルダン、アラブ首長国連邦、グルジア、ウズベキスタン、フィリピンにCoEが立ち上げられ、世界60ヶ国以上からの協力を得る予定である。

現在、危機的な状況に直面しても、多くの国が独力で対処せねばならない。UNICRIのCBRNプログラム責任者であるフランチェスコ・マレッリ氏の説明によると、CoEの目的は、地域間のパートナーシップ構築によって、CBRN事故のリスクを共有し、市民保護の能力を高めることにある。

「欧州外交サービス」のCBRN問題政策コーディネーターであるブルーノ・ドゥプレ氏の説明では、各地域に事務局が設置されて、地域内各国の司法機関、警察、軍を動員し、特定のリスクや脅威に関する知識を集積し共有していくという。

違法な核取引

大量破壊兵器(WMD)拡散への懸念が世界的に高まる中、CoEイニシアチブの最初の2つのパイロットプロジェクトは、違法な核取引への対抗と、核・放射性物質テロの脅威に焦点を当てている。

2011年1月に欧州連合に提出されたCRBNのケーススタディによると、1998年以来、米国一国だけでも、封印された放射性物質を含んだ装置が紛失、盗難、廃棄されたケースが1300件以上あるという。年間平均でいうと約250件にのぼる。

また、同調査によると、国際的な警察組織であるインターポールと国際原子力機関(IAEA)が核・放射性物質の違法取引に関する包括的なデータ収集の目的で共同で立ち上げた「プロジェクト・ガイガー」で、違法取引のケースが2200件以上記録されたという。

CoEのプロジェクトは、南アジア地域において核科学捜査の能力を構築することによって、違法取引によるリスクを緩和することを目的としている。核物質の安全な回収や、市民保護の措置、起訴を目的とした犯罪現場の保存などの問題に取り組んでいる。

ドゥプレ氏は、シリアからの大量破壊兵器拡散の脅威に関する質問に答えて、CoEは基本的に予防的なイニシアチブであって、恒久的な組織や危機対応組織と混同されてはならないと強調した。

CoEは構造的問題への対処を通じて――たとえば早期警戒や早期支援システム――危機を予防することを目指しているが、中東や北アフリカの紛争状況において兵器拡散への対応を調整することは、その職掌を超えている。

毒性廃棄物

核テロの脅威がもっとも多くの関心を集めてはいるが、化学兵器、生物兵器に対する懸念に対処するプロジェクトも、遅ればせながら実を結びつつある。

ノート型パソコンや携帯電話などの電子機器に含まれる毒物が、その廃棄に日々従事する労働者に深刻な健康被害を及ぼしているアフリカ地域では、電子ごみ(e-ごみ)の廃棄が、重要事項の一つとなっている。

CoEがアフリカで行っている廃棄物処理プロジェクトは、電子ごみ問題に対処する方法を構築するためのスポンサー探しの最中である。しかし、ドゥプレ氏によれば、資金は限られている。

国連環境計画(UNEP)が2010年2月22日に発表した報告書『リサイクリング―電子ごみから資源へ』では、インドや中国、ラテンアメリカ、アフリカ諸国において、毒性のある電子ごみの山の脅威が大きくなり、環境と公衆衛生に重大な影響を与えているという。

報告書では、セネガルやウガンダのような国では、パソコンから出る電子ごみだけでも、2020年までに8倍に増えると予想している。ケニアでは、冷蔵庫から1万1400トン、テレビから2800トン、パソコンから2500トン、プリンターから500トン、携帯電話から150トンのごみが出ると推計されている。

ドゥプレ氏は、アフリカの電子ごみの問題について、「資金不足により、深刻な問題となっています。」「現在、スポンサーを探して、手続きを何とか定めようとしています。アフリカにはごみ処理のプログラムがあり、ごみ処理を支援するために国際組織から資金を引き出そうとしているところです。」と語った。

「アフリカでは、(ごみ処理は)テロの拡散問題よりももっと優先順位の高い問題なのです。」とデュプレ氏は付加えた。

CoEのイニシアチブは、いかなるドナーの関心にも引きずられることのないよう、地域の資産を基盤に構築されている。しかし、国際社会で集める注目とは別に、複数の問題に対処する資金を確保することが難題となっている。(06.27.2011) IPS Japan

 

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