Atomic Energy Agency Dangerously Weak, Warns Report - JAPANESE

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IAEAはあまりに脆弱とシンクタンクが指摘

【ワシントンIPS=キャリー・L・バイロン】

IAEAは「大変な資金不足に陥っている」と、6月25日にワシントンDCで発表されたある報告書が指摘している。

この報告書によれば、IAEAは30年来の予算キャップの下で任務を遂行しており、必要なレベルの機能を果たす能力が妨げられているという。

IAEAは、その与えられた任務の下で、世界で唯一の監視機能を果たしている。IAEAの資金源は、加盟国の自発的な分担金に限られている。

カナダのシンクタンク「国際ガバナンス革新センター(CIGI)」が発表したこの報告書は、「IAEAは、その活動振りからして当然の評判を博し、きらめくような前途を持っているにもかかわらず、十分な資源を与えられず、その権限は著しく削がれ、その技術的な達成はしばしば政治的論争の陰に隠れがちである。」と警告している。

現在、IAEAの年間予算は3.21億ユーロ(約4億ドル)であり、これで約2300人の職員を雇っている。

「任務の大きさに対してこれはあまりに小さい」とストックホルム国際平和研究所のワシントン事務所で語ったのは、報告書の著者であるトレバー・フィンドレー氏である。

フィンドレー氏の調査によると、2010年時点でこの予算で行えたことは、175ヶ国・949ヶ所での保障措置の監督である。同じ年だけで、IAEAは2010回以上の現地査察に従事した。

IAEAが、1953年の創設以来、驚くほど広く称賛を集めてきたのも事実である。しかし同時に、そうした称賛の多くはIAEAが比較的制約された予算の中で任務を行ってきたことも認識しており、称賛の対象はその効率性に向けられてきた。

2006年、米大統領の連邦予算作成を支援する米政府の部局は、資金投入の価値という点でIAEAに満点を与えた。2004年、ある国連のパネルは、IAEAを「めったにない掘り出し物」と表現した。しかし、フィンドレー氏は、IAEAは「国連システムの中でも最もよく運営されている機関のひとつ」と何度も呼ばれていることに留意しつつも、他方で、予算が制約されていることでいくつかの任務遂行に障害が出てきていると指摘している。

実質成長なし

この予算問題は、1980年代半ばに国連全体で実施された「実質成長なし」方針によるものである。これは、インフレ率の中央値を越える予算の伸びを認めないというものである。国連への分担金が多い国々からなる「ジュネーブ・グループ」からの圧力によるものであった。

IAEAの場合、この方針によって2003年まではIAEA予算の伸びは凍結され、この年になってようやく、米国からの圧力によって、僅かではあるが漸進的な増加が認められるようになった。

この点において、米国はIAEAの強力な支援国のひとつである。バラク・オバマ大統領は、IAEA予算を2倍にすることを追求し、米国の自発的な分担金も急速に増やした。

IAEAは、予算の停滞に悩みながらも、その管掌範囲を広げていった。さらに、IAEA自身の推測によると、今後20年間で原子力発電は2倍になる。

この予算の制約が広い範囲で影響を及ぼすことは避けられない、とフィンドレー氏は論じている。同氏は、IAEAが関与するようになった活動全体を支援するために、必要に応じた予算システムへと移行することを提案している。

フィンドレー氏の報告書には、「IAEAには、最新の技術や適切な人的資源が与えられてこなかった」「その中で最も重大なことは、IAEAが、いかなる手段をもってしても、イラク、イラン、リビアが保障措置協定に重大な違反をしていたことを察知できなかったことだ。」と記されている。

2011年3月の福島第一原発事故もまた、IAEAの現状に警鐘を鳴らしている。IAEAは、事故に24時間以上対応することができなかったのである。

多くの識者にとって、これはIAEA内部の危険な失策を意味するだけではなく、世界の原子力安全の「ハブ」を構築するという責任にどの国際機関も取り組んでこなかったことを示すものであった。

政治的障害

多くの人びとにとって、福島や現在のイランの問題は、IAEAの機能を再検討する緊急の必要性を示している。

IAEAが何年にもわたってイランと関与してきたが、イランは以前よりも核兵器取得に近づいている」と報告書は指摘している。フィンドレー氏は、イランが長年にわたる協定不遵守にIAEAが対処する能力がないことに懸念を表明している。

しかし、予算問題を解決することは問題全体の一部に過ぎないとフィンドレー氏は言う。2年間の調査を基にした同氏の報告では、変化を生み出すことが求められるアクターに応じて、20の勧告がなされている。

これらの勧告の中で、イラン問題は、とりわけ最近IAEAのガバナンスの分断が危険水準に達しているという事実を指し示している。

フィンドレー氏は、「政治化がIAEAの統治機構を機能不全に陥らせている」と語り、とりわけ、遵守違反のケースがIAEAの機能を止めているという。特にイランをめぐる停滞が例として挙げられるが、イスラエルの核計画をめぐる論争的な投票や、中東全体の保障措置などの問題もフィンドレー氏は挙げた。

「ますますIAEAが政治化する状況は、途上国の役割が以前より活発化していることに原因が求められるかもしれない」と報告書では述べられている。イランの「外交的防波堤」として機能してきたブロックである「非同盟運動」(NAM)の影響力拡大のことを指している。

しかし、報告書はすぐにこうも付け加えている。「西側諸国もまた、IAEAの政治化に責任を負っている。ニコラス・バーンズ米国務次官(政治問題)が、(元国連事務局長のモハメド・)エルバラダイ氏に、イラン問題に関する米国の立場を受け入れさせようとして、『IAEA予算の25%を支払っているのは我が国だ』と言ったとされている。」

報告書では、こうした分断状況を緩和するいくつかの戦略も提示しているが、政治が入り込んでくるのは避けられないことだともフィンドレー氏は述べている。IAEAを設立しその費用負担を行っているのが加盟国だとすれば、「その運命を最終的に握っているのは加盟国だ。」とフィンドレー氏は結論付けている。

「(IAEAは)いくつかの点で自らを強化し改革することができます。しかし、究極的には、加盟国全体、あるいは一部の有力で精力的な加盟国の強い意向に左右される存在でもあるのです。従って、今後IAEAを強化し改革しようとすれば、我々が圧力をかけねばならないのは加盟国ということになるのです。」(06.25.2012 IPS Japan

 

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