Pressure Builds on Iran at Nuclear Watchdog Agency - JAPANESE

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|軍縮|IAEAでイランへの圧力強まる

【ワシントンIPS=バーバラ・スラビン】

イランが核兵器開発能力の保持に向けてゆっくりと進む中、核開発封じ込めのための外交努力が国際原子力機関(IAEA)の場に移りつつある。IAEAの天野之弥事務局長は、イランの核科学者による軍事研究疑惑に対して、前任者よりも強硬な姿勢をとっている。

イランの核開発に関する専門家らは、11月17日から18日にかけてウィーンで開かれるIAEA理事会でイランへの批判がさらに強まるとみている。イランは軍事的な側面を持つ核研究に関して誠実に申告する義務を果たしていないという結論が出される可能性がある。

核不拡散の専門家であり、日本の元IAEA大使である天野事務局長は、2009年に就任して以降、核弾頭設計や核爆発実験を開始する手法に関するイランの研究疑惑について、エジプト出身の前任者モハメド・エルバラダイ氏よりもより明確かつ強硬な発言をしてきた。

天野氏は9月12日のIAEA理事会で、「IAEAは、ミサイルへの核搭載開発に関連した活動など、軍事関連組織を巻き込んだ、過去あるいは現在の秘密の核関連活動がイランにおいて存在した可能性があることへの懸念をますます強めています。IAEAはこの件に関して情報収集を続けています。」と語った。

さらに天野氏は、「近い将来に、IAEAの懸念の根拠についてより詳細に展開し、すべての加盟国に情報を提供したいと考えております。」と語った。

ウィーンのある西側外交筋は、「11月9日ごろに天野事務局長が理事会に提出予定の次の報告書において、イランに関する重要な新情報が出される可能性があるとの推測が、天野氏の発言によって強まった。」とIPSに語った。匿名を条件に取材に応じたこの外交官によると、西側を中心とした加盟国は、イランが核不拡散条約の義務に従っていないことの証拠としてこの資料を使うかもしれない、という。

そのような判断が2006年に一度下されたことがあり、国連安全保障理事会でもこの問題が取り上げられるに到った。国連安保理はイランに対する決議を6本採択し、うち4本は制裁措置を含むものであった。しかしロシアと中国の反対姿勢を考えると、今後あらたな決議が通る見通しはない。

しかし、前出の外交官によると、新たな判断がIAEAで下されることになると、すでにある懲罰的措置の確実な履行に向けて各国への圧力は高まることになるだろう、という。イランとの武器貿易禁止、イランが核開発に利用する可能性のある物資の輸出管理強化などが、そうした制裁措置の例である。

この外交官は、[諸国による]制裁措置と、兵器転用可能性のあるウラン濃縮等の技術がゆっくりではあるが着実に開発されていることの両面を指摘しつつ、「この問題はあらゆる面において徐々にエスカレートする傾向にあります。」と語った。

米諜報部門の2007年の推測では、イランが兵器関連の核活動を2003年に停止したことには「高いレベルの確実性」があり、活動が2007年中盤にかけて再開されてはいないことに「中レベルの確実性」がある、とされていた。2011年の推測では、これほど明確には述べていないようだが、推測自体は未公表である。

ウッドロー・ウィルソン国際センターのマイケル・アドラー氏(公共政策)によれば、ドイツのためにスパイ活動をしていたイラン人の妻が数年前にイランからひそかに持ち出し、「死のラップトップ」とあだ名が付けられたコンピューターに外国の諜報機関によってのちに集積されたさまざまな文書があったが、これを補強するような新しい情報をIAEAは山のように受け取っているという。

イランは、文書は偽造されたものだと主張する一方で、研究疑惑に関する情報の一部については、その情報が正確なものであると認めている。IAEAのオリ・ハイノネン元事務次長は、2008年夏以来、この問題に関する詰めた議論は行われていないという。

AFP通信の記者としてIAEA問題をカバーし、イランの核開発に関する著書を執筆中であるアドラー氏は、ウッドロー・ウィルソン・センターで9月30日に開いた記者会見で、「イランは兵器研究を行っていた部門の一部を2003年に解体し、民生利用も可能な分野に焦点を当てて『監視の目から隠れる形で』開発計画の要素を再結集している。」と語った。

「イランが2003年以降、とりわけ2006年以降に兵器の研究開発を再開したとの疑いが濃厚になってきたと天野氏以下は考えている。」とアドラー氏は語った。

マサチューセッツ工科大学の核不拡散専門家ジム・ウァルシュ氏は、「もしIAEAが主張の裏づけとなる明確な証拠も示さずにイランに対して強硬な立場をとるならば、IAEAへの信頼は失われることになるかもしれない」と指摘した上で、「もしIAEAが米国の使い走りだと見られるようなことがあれば、彼らはイランとのつながりを失い、外交的な解決はより困難になるでしょう。」と語った。

IAEAに改めて焦点が当たっているが、他方で他の外交努力が失敗に終わりつつある。

マフムード・アフマディネジャド大統領をはじめとしたイラン首脳部は、もし諸外国が医療用アイソトープを製造する原子炉用の燃料を供給してくれるのであれば、ウラン235の濃縮を20%まででやめてもよい、と発言し始めている。イランはこの濃縮レベルのウランをすでに70kg生産しているが、これは兵器級に近づいた危険なものである。

米国科学者連盟(FAS)・イランプロジェクトのアリ・バエズ代表と、FASのチャールズ・ファーガソン代表は、米国とその同盟国は、「アフマディネジャド大統領の言葉を額面どおり受け取って」、「イランに50kgの核燃料を無条件で提供」すべきだと、『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』紙に最近書いている。

両名によれば、ウラン提供は「ワシントンの善意をイラン市民に見せるための人道的なジェスチャーであり、他方でイランの濃縮活動を抑制し、西側のイランとの核問題交渉を行き詰まらせてきた原因を取り除くことができるかもしれない。」という。

しかし、バラク・オバマ政権はこうした提案を頭から拒絶しているようである。

国務省のビクトリア・ヌランド報道官は、先週記者団に対して「アフマディネジャド大統領はこれまで幾度となく空約束をしてきた」と指摘した上で、今回の新しい提案について、「真の問題から目をそらすものだ。」と表現した。(IPS/10.05.2011)

 

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