国際原子力機関が核の「ならず者国家」を批判

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【国連IPS=タリフ・ディーン】

国際原子力機関(IAEA)は、7月27日、国連加盟国であるイラン・北朝鮮・シリアの3カ国について、核不拡散条約(NPT)の下での国際的義務に従うことを拒絶し続ける核の「ならず者国家」として名指した。

IAEAの天野之弥事務局長は、3か国を直接名指しして、2009年12月の就任以来、核の検証に関する自身のアプローチは「きわめてわかりやすいもの」であったと語った。

天野事務局長は、長野県松本市で27日から3日間にわたって開催された「第23回国連軍縮問題会議 in松本」において、「加盟国とIAEAとの間で結ばれた全ての保障措置協定、及び国連安保理決議のようなその他の関連する義務は、完全に履行されねばなりません。」と語った。

現在核兵器保有国には、NPTで公式に認定されている5カ国(米国、英国、ロシア、フランス、中国)と、非公式の核兵器保有3か国(インド、パキスタン、イスラエル)がある。

非公式の核兵器保有3か国は、いずれもNPTの署名を拒否し、IAEAの監視からも逃れている。他方で、公式の核兵器保有5カ国はNPT加盟国である。

北朝鮮は、核兵器を保有していると広く信じられている。イランは核兵器開発計画を積極的に進めていると疑われているが、自身は強く否定している。シリアは、失敗に終わったものの核兵器開発を進めようとしていたことについて非難されている。

イラン・シリア両国はNPTの加盟国である。一方北朝鮮は、2003年1月にNPTを脱退していることから、条約上の義務はないと主張している。

しかし、北朝鮮は、国連加盟国として、IAEAと国連安保理の決議には従う義務がある。

天野事務局長は、「ご承知のように、2009年4月以来、IAEAは北朝鮮においていかなる保障措置も実施できていない」と指摘し、北朝鮮の核計画は「重大な懸念の対象」であると語った。

昨年、北朝鮮が新しいウラン濃縮施設と軽水炉を建設中であると報じられた。

これらの報道が事実ならば「きわめて深刻な事態になる」と天野氏は語った。

天野事務局長は北朝鮮に対し、同国を強く非難し制裁をかけたIAEA総会の決議や国連安保理決議を完全に履行するよう強く求めた。

同じく非難されているイランは、自国の核開発は「平和目的」のみのものであると明確に主張している。

しかし、国連安保理もIAEAもこうした見方を採っていない。

天野氏は、「イランは、未申告の核物質や核活動が存在しないとの信憑性のある保証をIAEAが与え、したがってイラン国内のすべての核物質は平和目的であると結論づけるために必要な協力を怠っている」と指摘した上で、イランに対して、「核計画が完全に平和目的のものであるという国際的信頼を勝ち取るために、すべての関連する義務を果たすよう」求めた。

なおシリアについてIAEAは、2007年にデイル・エッゾール(Dair Alzour)で(おそらくイスラエルの空爆によって)破壊された施設は、IAEAに対して申告義務があった原子炉であった可能性が極めて高いとの結論を出している。しかし、実際には申告されなかった。

IAEA理事会は、6月9日、シリアが「保障措置協定上の義務を果たしていない」ことを非難する決議を採択した。

他方でIAEAは、既存の非核兵器地帯の有効性と、中東への非核兵器地帯設置を検討する国際会議を招集する可能性について加盟国と協議している。

しかし、当面は2012年に予定されている『中東非核兵器地帯の設立に関する会議』は、アラブ諸国を席巻している政治的動乱と、それが自国の安全保障に及ぼす悪影響についてイスラエルが懸念しているため、開催が危ぶまれている。

長く待ち望まれたこの会議は、2010年5月に国連本部で開催されたNPT運用検討会議において189の加盟国が承認したものである。

イスラエル政府は、NPT運用検討会議の成果文書を批判する一方で、2012年の会議への参加については、態度を明らかにしていない。

しかし、イスラエルを取り巻く政治環境は、アラブ世界を席巻している民衆蜂起と政治変革の波を受けて、親イスラエル的であったエジプトのホスニ・ムバラク大統領が追放されるなど、ますます敵対的なものとなっている。イスラエルはこうした情勢の変化を受けて、とりわけ自国の安全保障に関する懸念を強めている。

イスラエルは、非公式の場では、核兵器こそが最もよく自国の安全を保証するものであるとの見解を示している。(07.27.2011)

IPS Japan

 

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