|軍縮|勢いを得る放射能兵器禁止運動

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【アムステルダムIDN=ジャヤ・ラマチャンダラン】

 

リビア内戦に介入した米国と同盟国は、1991年の湾岸戦争以降、介入したいくつかの地域戦争で劣化ウラン弾を使用したと報じられている。今回リビアにおいても同様に劣化ウラン弾が使用されたのではないかとの疑惑が高まる中、ウラン兵器禁止を求める国際連合(ICBUW:120以上のNGOで構成)は、ウラン兵器を禁止する国際条約の成立に向けて運動を強化している。

 

米空軍のポーラ・カーツ報道官は、4月2日付の『ヘラルド・スコットランド』のインタビューで、リビアで対地攻撃機A-10を利用していることを認めた。 A-10は装甲車や戦車を駆逐する目的で開発された航空機で、劣化ウラン弾頭を装着した徹甲弾を毎分3900発発射することが可能である。

 

カーツ報道官は、これまでの劣化ウラン弾使用疑惑の報道は否定したものの、将来的な使用の可能性に関しては「将来何が使用されるか、使用されないかについて推測でお話ししたくありません。」と明言を避けたことから、国連安保理決議1973号が保護を目的としているはずの民間人が劣化ウランの犠牲になるのではないかとの疑惑が一層強まることとなった。

 

一方評論家は、米国は時としてウラン兵器の使用に関しては「情報を全面公開しない」傾向にあるという。「私たちは今後も、リビアにおいて劣化ウラン弾は今までも使用されていないし今後も使用しないという確固たる保障を求めていきます。」と核兵器廃絶運動のケイト・ハドソン事務局長は語った。

 

「米国は、放射能物資の実戦配備については、実際に使用してかなりの年月が経過してから認めるということを長年繰り返してきた歴史があります。」とハドソン事務局長は付け加えた。

 

劣化ウランは放射性の科学的毒性を有する重金属である。ICBUWは、「ウラン兵器は燃焼すると放射能と毒性を持った粉塵が撒き散らされる。ウラン弾に貫通された標的はこの粉塵に覆われ、乾燥地域においては数キロ先まで拡散することもある。その結果、民間人、軍人を問わずその粉塵を体内に吸い込んでしまう危険性がある。」と指摘している。

 

劣化ウランは、1991年と2003年の米軍及び多国籍軍によるイラク進攻で戦場となった一部地域において、乳癌やリンパ腫などの癌発生率が急増した原因と考えられている。また、主戦場付近において先天性欠損症の事例が高まったこととも関連していると考えられている。

 

ICBUWによると、劣化ウランは、湾岸戦争、ボスニア、セルビア、コソボ、イラク戦争などで米軍・英軍が徹甲弾として使用したという。また、劣化ウラン弾はその他18カ国が使用していると考えられている。

 

さらに、2001年にアフガニスタンで使用された疑惑もあるという。米英政府は否定しているが、リークされた文書によると、米軍が現地で劣化ウラン弾を保持していたことは間違いないという。ICBUWは、「NATO地上軍の支援に近接航空支援用地上攻撃機A-10を使用し続けているということは、劣化ウラン弾が使用された可能性を否定できません。」と述べている。

 

ICBUW は、かつて地雷禁止・クラスター兵器禁止連合が取り組んだように、全ての通常兵器におけるウラン使用を禁止する「ウラン兵器禁止条約」を起草している。またICBUWは、米国に対し、英国のデイヴィッド・キャメロン首相が明言したように、劣化ウランの使用を全面的に否定する確約を求めている。また「劣化ウラン弾が既に使用された場合は、直ちに地域住民にその事実を公表するとともに、できるだけ早く除染作業を行うべき。」と主張している。

 

またICBUWは、米国政府に対して「米軍機は劣化ウラン弾を装着して発進せず、搭乗員は発射許可を受けることはないとする確約を国際社会に対して明言するよう」、また、「戦闘地域に既に配備されている劣化ウラン弾は選別・封印し、既に使用された場合は対象地域に関する情報を開示するよう」強く求めている。

 

一方、オランダでは、労働党と社会党が、リビアで米軍が「ユニファイド・プロテクター作戦」において、劣化ウラン弾を使用した可能性について、政府への追及を強めている。オランダ政府は、空軍機(F16戦闘機、給油機)、機雷掃討艇を派遣し、リビア上空の飛行禁止区域の設定作戦に深く関与している。

 

平和団体「IKVパックス・クリスティ」の政策顧問Wim Zwijnenburg氏は、「現在のところ、ウラン兵器の使用を巡る情報開示が確保されていないことから、被害調査の実施が難しい状況にあります。米軍はウラン兵器をリビアに実戦配備していないことを切に祈るのみです。」と語った。

 

またZwijnenburg氏は、「湾岸戦争、イラク戦争において使用された400トンにも及ぶ劣化ウランの実態を調査し放射能除染などの技術支援を行うためにも、イラクで使用された劣化ウラン弾に関する情報開示を行う必要があります。」と語った。

 

「私たちは、国際原子力基金(IAEA)のいう『低レベル放射能廃棄物』に汚染された地域をこれ以上広げる余裕はありません。この問題に対する国際社会の関心が高まり、ウラン兵器の使用に歯止めをかけるようになることを望んでいます。」

 

またZwijnenburg氏は、オランダ政府は議会からの度重なる要請にも関わらず、ウラン兵器の使用に関して明確に反対する立場をとることを躊躇してきた点を指摘した。オランダ政府は、議会が提出した劣化ウラン兵器の製造禁止を求める動議を棚上げにしたほどである。

 

「一方でオランダ政府は、昨年12月、劣化ウラン弾の使用に関する透明性を求めた国連決議A/65/55に賛成しています。同決議は、世界保健機構(WHO)や国連環境計画(UNEP)による勧告の実現も求めており、とくにUNEP勧告は劣化ウラン弾使用に関する予防的なアプローチを推奨しています。」と Zwijnenburg氏は4月7日に発表した声明の中で語った。(09.04.2011) IPS Japan/IDN-InDepthNews

 

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