|軍縮|勢いづく世界の反核世論

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【国連IPS=ハイダー・リツヴィ】 

むこう数年間、核兵器保有国は、好もうと好むまいと、高まる核廃絶支持の国際世論を拒絶することは、ますます困難となるだろう、と反核活動家や政治家が語った。 

「平和市長会議」は、ニューヨークの国連本部において、各国指導者に核廃絶の努力を求めるため世界から集めた100万人を上回る署名(CANT署名)を展示公開した。

潘基文国連事務総長は、3月24日に行われた展示開始の記念式典において、「この署名運動には、世界の市長をはじめ、志を同じくする市民や平和団体が結集しました。彼らは皆、核兵器が安全ではなく危険をもたらすものであることを理解している人々です。」と語った。

「世界市長会議」(現在、世界150カ国・地域の4500都市が加盟)は、1991年以来、国連経済社会理事会登録(「特殊協議資格」)のNGOとして活動している。

国際平和活動家や広島・長崎原爆の被爆者と共に記念式典に出席した潘基文国連事務総長は、「長年に亘って、市民は結束して特定の兵器を廃絶するための運動を展開し、数種類の兵器については、政府を動かして廃絶に漕ぎ着けることに成功しています。地雷禁止は、その素晴らしい事例と言えるでしょう。そして今、私たちは、核兵器の分野で前進を図る必要があります。」と述べ、長年に亘って棚上げにされてきた核軍縮の問題を速やかに前進させるよう、改めて訴えた。

潘事務総長は、これに関連して、2012年に開催が予定されている2つの主要行事、すなわち、「第2回核安全保障サミット(韓国で開催予定)」と、「中東非核・非大量破壊兵器地帯の設立に関する会議」について言及した。

核廃絶を求める100万を超える署名を展示する記念式典は、ちょうどシモンズ財団と国際反核法律家協会(IALANA)が世界各地の外交・国際法の専門家の署名を得て「バンクーバー宣言」が発表された翌日に、国連本部で開催された。

「バンクーバー宣言」によると、核兵器は、大量破壊兵器であり、戦時に全ての軍事組織が順守すべき禁止事項を明文化した国際人道法の精神と「相容れない」ものである。

専門家たちは、「核兵器が発散する強烈な熱線と放射能のレベルを考えれば、核兵器を保有する行為は、民間人に対して無差別かつ不相応な被害をもたらすことを禁止した国際法に明らかに違反する」と述べている。

「核兵器のない世界を早期に実現するための法の責務」と題されたバンクーバー宣言は、核兵器の世界的な禁止と廃絶について、各国政府が速やかに交渉に入り合意に達するよう求めている。

また宣言の署名者たちは、国際司法裁判所(ICJ)による1996年の勧告的意見を引用し、「核兵器は、使用・威嚇が違法であり、ほとんどの国において禁止されているうえに、最終的には廃絶が義務付けられているものである。従って、核兵器を無期限に保有し続けることが国際法にかなうわけがない。」と述べている。

1970年に発効した核不拡散条約(NPT)の要諦は、核兵器を保有していない国は新たに核兵器を取得しないことに同意し、核兵器保有国は、核兵器廃絶に向けた交渉に「誠意をもって」応ずるというものである。

世界最大の核兵器保有国は米国とロシアである。世界の武器生産と輸出動向をモニタリングしているスウェーデンのシンクタンク「ストックホルム国際平和研究所(SIPRI))の統計によると、米露両国の核兵器保有量は全世界の核兵器の93%を占めている。

その他の核保有国では、中国が400基、フランスが348基、イスラエルと英国が各々200基の核弾頭を保有している。また、インドは80基以上、パキスタンが約40基を保有していると考えられている。

多くの専門家が、米国は、自らNPTの軍縮義務を履行しないのみならず、過去において核軍縮に関する各国間の協議を積極的に阻止したり、頓挫させたりしたことから、核兵器保有国の中で最も無責任な国だと考えている。

例えばロナルド・レーガン政権(1981年~89年)は、80年代にパキスタンが進めていた違法な核開発計画を黙認した。同様にジョージ・W・ブッシュ政権(2001年~09年)はNPT未加盟のインドとの核協力協定の締結に踏み切っている。

バラク・オバマ政権は、昨年ロシアとの間に新しい戦略兵器削減条約(START)を締結した。しかし同政権は、少なくとも3500基の核弾頭を2020年以降も維持することを認めている。

たしかにこの動きは、同条約締結時に核軍縮支持者が指摘した通り、好ましい方向に一歩前進したものであるが、十分なものとは言えない。

核政策に関する法律家委員会(LCNP)のジョン・バローズ事務局長は、他国からの核攻撃に対する報復能力を損なうことなく備蓄核兵器の上限を(新START合意基準よりも)「遥かに引き下げる」ことで、米国は、軍縮交渉をリードできると確信している。

しかしバローズ氏は、3月24日の100万を上回る核廃絶を求める署名の常設展示を目の当たりにして、平和運動がかつてない勢いで動き出していると考える人々に賛同するようになった。

「この数年の間に、一般大衆に加えてエリート層の間でも意見の変化がみられるようになりました。今、平和運動に大きな変化が起こっているのです。そして、(核廃絶を求める署名の常設展示)は、こうした変化を具現化する一助となるでしょう。」とバローズ氏はIPSの取材に応じて語った。

シモンズ財団会長のジェニファー・シモンズ博士は、バンクーバー宣言に寄せたコメントの中で、「今後の核兵器ゼロを目指す協議の過程で、核兵器に纏わる非人道性と違法性に十分焦点が当てられ、核廃絶の実現が一刻も早まるよう希望します。」と述べている。

さらにシモンズ博士は、「核兵器を保有することは国際犯罪とすべきなのです。」と記している。(03.25.2011)

IPS Japan

 

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